よくあるご質問と回答(野菜、しいたけ、米、牛乳・乳製品、肉と卵) ~農林水産省 4月25日更新~
野菜や原乳などの放射性物質の検査結果に関し多くのご質問が寄せられています。このうち、特にご質問が多いものについて紹介します。
野菜
Q.どのような考え方で、農産物の分類をしているのですか。
A.野菜にはいろいろな種類があり、さまざまな分類方法がありますが、放射性物質の農産物への付きかたは、ダイオキシンなどの化学物質や農薬と似ているため、食品安全に関わる国際的な食品分類を活用しています。
この分類では、空中から落下する化学物質を受ける野菜の形や、葉の面積と重さのバランスなどが考慮されています。
Q.「非結球(ひけっきゅう)葉菜類(ようさいるい)」や「結球(けっきゅう)葉菜類(ようさいるい)」とは、どんな野菜ですか。また、具体的な野菜の分類を教えてください。
A.以下の分類となっています。
[1] 主に「葉」の部分を食べるもの:葉菜(ようさい)類
※さらに、葉の形により以下のとおり分類されます。
葉が重ならずに各々広がった状態のものを「非結球(ひけっきゅう)性(せい)葉菜類(ようさいるい)」
(ホウレンソウ、コマツナ、ミズナ、チンゲンサイ、ナバナ(カキナ)、非結球レタス(ロメインレタス、サニーレタスなど)、シュンギク)
葉が重なりあって球状になっているものを「結球(けっきゅう)性(せい)葉菜類(ようさいるい)」
(キャベツ、ハクサイ、結球レタス)
[2] 「花や蕾」の部分を食べるもの:花蕾(からい)類あるいは花菜(かさい)類
(ブロッコリー、カリフラワー)
[3] 「果実」の部分を食べるもの:果菜(かさい)類
ウリ科の果菜類(キュウリ、カボチャ)
ナス科の果菜類(トマト、ナス、ピーマン)
[4]主に「茎や葉」の部分を食べるもの:茎菜類(けいさい)類
(セロリー、アスパラガス)
[5]ネギの仲間のうち、「葉」の部分を食べるもの:ネギ属野菜類
(ネギ、ニラ)
[6]「熟していない豆やさや」を食べるもの:未成熟豆類
(エダマメ、サヤインゲン、サヤエンドウ)
[7]「地中の根など」の部分を食べるもの:根菜(こんさい)類
(ダイコン、カブ、ニンジン)
Q.なぜ、ホウレンソウなどの葉もの野菜(葉菜類)から、多くの放射性物質が検出されているのでしょうか。
A.放射性ヨウ素等の放射性物質は、大気中で細かい粉じんと一緒に空中から落下し、葉の表面に付くと考えられています。このため、葉の表面が上を向いて広がっているホウレンソウなどの「非結球性葉菜類」では、他の野菜に比べて比較的高い濃度の放射性物質が検出される例が多くなっていると考えています。また、暫定基準値は、重量当たりで表しているので、同じ重さで比べた場合、表面積の多い野菜の方が高い濃度で検出されがちです。なお、カキナや福島県において摂取制限の対象となっている茎立菜(くきたちな)、信夫冬菜(しのぶふゆな)もこの葉菜類に分類されます。
Q.カキナや茎立菜(くきたちな)、信夫冬菜(しのぶふゆな)とはどんな野菜ですか。
A.いずれもアブラナ科の葉菜類で、カキナは栃木県などの北関東で、茎立菜や信夫冬菜は福島県内で主に栽培されている伝統野菜です。
Q.キャベツなどの、「結球性」の葉もの野菜は「非結球性」より放射性物質の付着が少ないと言われますが、どうしてですか。
A.キャベツなどの結球性野菜の場合、畑で収穫した後に、出荷にあたって外側の硬くて食用に適さない葉を2~3枚外して出荷されます。なお、落下した放射性物質を含む粉じんは外側の葉に付着するので、これを外すことにより、付着物はかなり除去されることがわかっています。
Q.ダイコンなどの根菜類は心配が少ないと言われますが、本当ですか。
A.根菜類は、摂食部分(肥大した根の部分)が主に地面の下にあるため、放射性物質を含む粉じんが直接着きにくいと考えられます。
なお、福島県においてカブから暫定基準値を超える放射性物質がされ、出荷制限措置がとられていますが、これは、分析を行う際に、葉と根の部分を一緒に分析しているため、葉に付着した放射性物質が影響したためと考えられます。
野菜に関するお問い合わせは
生産局生産流通振興課
代表:03-3502-8111(内線4825)
ダイヤルイン:03-6744-2113
しいたけ
Q.販売されている福島県産しいたけを食べてもだいじょうぶですか?
.販売されている福島県産しいたけを食べてもだいじょうぶですか?
A.福島県では、露地栽培の原木しいたけ、施設栽培の原木しいたけ、菌床栽培のしいたけ、なめこ、まいたけ、エリンギ、えのきたけ等のきのこが生産されています。これらのきのこで施設栽培されているものや、出荷が制限されていない区域の露地栽培の原木しいたけについては、放射性物質が検出されていないか、規制値以下となっています。
また、福島県では、販売されているしいたけの情報が消費者にわかるように、産地の市町村名や栽培方法を表示することとしています。また、安全なしいたけが流通するよう、県職員の方々等が、適正に表示されているか、出荷が制限されている区域の露地栽培の原木しいたけが流通していないか等について、生産地や流通拠点を巡回して確認することとしています。
なお、福島県で、露地栽培の原木しいたけの出荷が制限されている区域は4月25日時点で、福島市、伊達市、本宮市、相馬市、南相馬市、田村市、新地町、川俣町、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、飯舘村、葛尾村及び川内村の17市町村です。
Q.福島県の17市町村では、露地栽培の原木しいたけだけが出荷制限されているのはなぜですか?
A.福島県では、4月24日までに施設栽培の原木しいたけ、菌床しいたけ、なめこ、まいたけ、エリンギ、えのきたけの66件について、放射性物質の検査が行われました。その結果、暫定規制値を超える放射性物質は検出されませんでした。
一方、露地栽培の原木しいたけについては、52件のうち14件(いわき市、伊達市、新地町、飯舘村、福島市、南相馬市、川俣町及び本宮市)から暫定規制値を超える放射性物質が検出されました。露地栽培は、屋外にほだ木(原木にしいたけ菌を植えたもの)を立てかけ、外気や日光に触れさせてしいたけを育てる栽培方法です。このため、露地栽培は、大気中にある放射性物質と接触する可能性が施設栽培よりも高いことが考えらえます。こうした調査の結果を受けて、原子力安全委員会の助言を得て4月13日、4月18日及び4月25日に出荷が制限されたものです。このうち、いわき市については、4月24日までに放射性物質が暫定規制値を下回るようになったため、4月25日に出荷制限が解除され、4月25日現在では、福島県の17市町村が出荷制限されております。
福島県においては今後、露地栽培、施設栽培に関わらず、また出荷が制限されていない区域についても、しいたけ等の放射性物質の検査を行い、その結果については、その都度公表されることとなっております。
出荷制限の解除については、出荷が制限されている区域において、約1週間毎に検査して、3回連続で放射性物質が一定水準を下回った場合に、原子力災害対策本部において、出荷制限を解除するかどうかの判断がなされます。出荷制限の解除後も、約1週間ごとに検査を実施することとしています。
しいたけに関するお問い合わせは
林野庁林政部経営課特用林産対策室
代表:03-3502-8111(内線6087)
ダイヤルイン:03-6744-2289
米
Q.現在出回っているお米は安全でしょうか。
A.現在出回っているお米は、今回の事故の発生前に収穫され、貯蔵されていたものです。
このような農産物は、事故の発生時以後も屋内で適切な管理の下に貯蔵されている限り、放射性物質を含む粉じんを浴びることがないため、安全性が損なわれる可能性は極めて低いと考えられます。
このため、摂取制限、出荷規制等の対象にもなっておりません。
消費者の皆さまにおかれましても、冷静な対応をお願いします。
米に関するお問い合わせは
総合食料局食糧部消費流通課
代表:03-3502-8111(内線4033)
ダイヤルイン:03-6744-1367
牛乳・乳製品
Q.原乳は市販されている牛乳とは違うのですか?
A.原乳とは搾ったままの牛の乳で生乳(せいにゅう)ともいわれます。原料として乳業工場に出荷されるものであり、そのまま消費されるものではありません。
Q.原乳からどのようにして牛乳・乳製品ができるのですか?
A.酪農家で健康な乳牛から搾られた原乳は、その酪農家のタンクで10℃以下に冷却し、2日程度貯蔵されます。
その後、タンクローリーで多数の酪農家の原乳を集め、さらに多数の酪農家の生乳と合わせてクーラーステーションと呼ばれる施設にいったん集めた後、乳業工場に輸送されるのが一般的です。
クーラーステーションから工場に到着した大量の原乳は、加熱殺菌などの処理を経て、消費者の皆さんが召し上がっている牛乳・乳製品に加工され、出荷されます。
Q.販売されている牛乳・乳製品は食べても大丈夫ですか?
A.消費者の皆様が口にされる牛乳・乳製品は、多数の酪農家から集められた原乳について、放射性物質に対するモニタリングを適切に実施することにより、牛乳・乳製品の安全性を確認しています。
4月10日現在、宮城県、山形県、栃木県、群馬県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、長野県の調査結果では生乳から暫定規制値を超える放射性物質は検出されていません。
なお、福島県(会津地域を除く。)の原乳は、出荷制限されているため、暫定規制値を超える原乳が牛乳・乳製品の原料となることはありません。(福島県の会津地域及び茨城県全域の出荷制限は、それぞれ4月8日、4月10日に解除されました。)
※ 福島県会津地域:福島県喜多方市、磐梯町、猪苗代町、三島町、会津美里町、下郷町及び南会津町
Q.原乳の出荷制限解除のための検査はどのように行うのですか?
A.原乳の出荷制限の解除については、クーラーステーションまたは乳業工場の原乳を、約1週間ごとに検査して、3回連続で放射性物質が一定水準を下回った場合に、原子力災害対策本部において、そのクーラーステーションまたは乳業工場に出荷している市町村単位で出荷制限を解除するかどうかの判断がなされます。
なお、出荷制限の解除後も、約1週間ごとに検査を実施することとしています。
Q.農場単位の検査ではなく、CS(クーラーステーション(原乳の冷蔵保管施設))単位の検査でも、安全性はきちんと確認できますか。暫定規制値を上回っているものと規制をクリアしているものを単に混合し、薄めるだけであり、問題ではないですか?
A.酪農家が生産する原乳(搾ったままの乳)は、原料として乳業工場に出荷されるものであり、個々の酪農家が生産した原料がそのまま消費されるわけではありません。
具体的には、一定地域の酪農家から集められた原乳は、いったんCSに集められた後、乳業工場に輸送されるのが一般的であり、CSから工場に輸送された原乳は、加熱殺菌などの工程を経て、種々の牛乳・乳製品として出荷されます。
したがって、消費者の皆様に提供される牛乳・乳製品の安全性を確保するためには、個々の酪農家ごとではなく、CS単位で放射性物質に関するモニタリング検査を行い、CS単位で出荷制限の是非を判断することが適当と考えています。
このため、4月4日に原子力災害対策本部から公表された「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」においても、原乳の検査のための試料採取の単位は「クーラーステーション又は乳業工場単位で試料採取」とされているところです。
Q.牛乳の表示のどこを見ればその原産地がわかるのですか?
A.牛乳・乳製品については、原乳の原産地ではなく、乳業工場の所在地が表示義務の対象となっています。
このため、消費者の皆さんが牛乳・乳製品の表示を見ても、原乳の原産地が判断できない場合がありますが、暫定規制値を超える放射性物質が検出された原乳は、出荷制限されるとともに、農協又は乳業者がCS段階又は乳業工場段階で原乳の出荷者名等の確認を行うこととなっていることから、牛乳・乳製品の原料として使用されることはありません。
牛乳・乳製品に関するお問い合わせは
生産局牛乳乳製品課
代表:03-3502-8111(内線4932)
ダイヤルイン:03-3502-5987
肉と卵
Q.肉や卵の放射性物質による汚染は防げるのですか?
A.肉や卵に含まれる放射性物質のレベルは、飼料や水・土などによって決まります。
飼料については、事故の発生前に生産され、タンクなどで降下物を防げるように適切に保管されていれば、問題になるほど放射性物質を含む可能性は極めて低いと考えられます。
このような飼料とともに、放射性物質の付いた粉じんなどの落下・混入が少ない井戸水や水道水を与え、畜舎内で適切に飼うことで、肉や卵の汚染を避けることができます。
これらを生産者に周知するなど、安全な肉や卵の供給に努めています。
なお、3月23日に公表された調査結果では、茨城県の牛肉、豚肉、鶏肉及び鶏卵から放射性物質は検出されませんでした。
Q.どうして肉や卵の調査件数は他の食品に比べて少ないのですか?
A.消費者のことを第一に考える立場に立って、畜舎内で適切に飼養されていれば影響を受けにくい肉や卵より、放射性物質の付いた粉じんなどの落下・混入の影響を受けやすい葉菜類などの野菜や人が多く摂取する水や乳などの検査が先に行われています。
Q.どうして肉や卵については放射性ヨウ素の暫定規制値が定められていないのですか?
A.肉類等においては、食品中への蓄積や人体への移行の程度が小さいため、指標が示されませんでした。
これは、家畜が育ち、肉類等となって消費されるまでの期間に比べ、放射性ヨウ素が半減するまでの期間(8日間)が短いことなどによるものです。
肉と卵に関するお問い合わせは
生産局食肉鶏卵課
代表:03-3502-8111(内線4943)
ダイヤルイン:03-6744-2130